紫苑物語

石川淳著『紫苑物語』(1956年)。『石川淳選集』第五巻(岩波書店、1980年)所集。歌詠みの家に生まれながら、弓に憑かれた国司の宗頼を描いた短編小説。初出は「中央公論」1956年7月号。

『石川淳選集』第五巻(岩波書店、1980年)
『石川淳選集』第五巻(岩波書店、1980年)

『紫苑物語』の冒頭。

「國の守は狩りを好んだ。小鷹狩、大鷹狩、鹿狩、猪狩、日の吉凶をえらばず、ひたすら鳥けものの影に憑かれて、あまねく山野を驅けめぐり、生きものと見ればこれをあさりつくしたが、しかし小鳩にも小兎にも、この守の手づからはなつた矢さきにかかるような獲物はついぞ一度もなかつた。」

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