つげ義春日記

つげ義春著『つげ義春日記』(講談社、1983年)。漫画家つげ義春の1975年から1980年までの日記。1983年に『小説現代』(講談社)に連載された日記に未発表の1980年の日記を加えた単行本。つげ義春が撮影した家族の写真なども収載されている。英題: The Diary of Yoshiharu Tsuge

つげ義春著『つげ義春日記』(講談社、1983年)
つげ義春著『つげ義春日記』(講談社、1983年)

昭和50年(1975年) 酒井荘 著者の仕事部屋(P12)
つげ義春著『つげ義春日記』(講談社、1983年)

1980年の日記から1日分を引用(P240)。

九月二十七日
 今日も雨。十一月初旬の気温とかで肌寒い。
 朝起きてすぐ寂しい気持ちに包まれた。一日のやる気、意欲が出ない。この二、三日雑文とマンガの筋のことで頭を使っているが、何故か空想が発展せず苛々する。気の晴れないこと、生きる意欲のないこと、何もやる気のないことなどが頭をかすめ、こんな調子では将来が絶望的なものに思えてくる。こういうとき、平常なときの気持ちを思い出そうとしても、別人になってしまったように、まったく思い出すことができないのが不思議でならない。
 夜、床に就いてからひどい孤独感に襲われた。深い深い、たとえようもない孤独感だ。若いときのような甘さを加味した孤独感とはまるで異質のものだ。人間関係を疎遠にしている孤独でもない。なんといったらよいのだろう。生の孤独感とでもいうのだろうか。


『つげ義春日記』(つげ 義春)|講談社
現在は講談社文芸文庫から出ている。

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