内田吐夢監督による東映映画『飢餓海峡』(1965年)。戦後間もない頃に北海道で起きた殺人事件を発端とした社会派ミステリー。原作は水上勉の同名小説(1963年)。英題: A Fugitive from the Past。写真は犬飼多吉(三國連太郎、左)と木島忠吉(安藤三男、右)。
昭和22年9月、北海道南部に台風が接近する。
そうした中、岩内町の佐々田質店で強盗殺人放火事件が起きる。火は折からの強風で町中に拡がる。犯行に及んだのは実行犯の木島忠吉(安藤三男、左)と沼田八郎(最上逸馬、右)、それに犬飼多吉の3人だった。
岩内駅で2人を待つ犬飼多吉(三國連太郎、右端)。3人のなかでは木島がリーダー格で犬飼は手下扱いだった。
同じ日、函館沖では台風による高波で青函連絡船が転覆し、多数の死亡者が出る。
その夜、犯人の3人組は救出活動に伴う混乱に乗じて小舟を盗み、津軽海峡の対岸の青森県への逃亡を企てる。
やがて台風は去り、青函連絡船転覆の死亡者のなかに乗船名簿に該当者のない身元不明の2遺体があることが判明する。2遺体には額に同じような傷痕があった。函館警察署の弓坂吉太郎刑事(伴淳三郎、右から2人目)は質店事件の犯人3人が盗んだ小舟で逃亡を図り、3人のうちの2人が仲間割れで殺されたのではないかと推測する。
その頃、犬飼(左)は青森県内を逃亡中だった。犬飼は列車のなかで杉戸八重(左幸子、右)という若い女から握り飯をもらう。八重は大湊で娼婦をしていた。
犬飼(左)は八重(右)とともに大湊駅で下車し、八重の働く花街の料理屋に投宿する。犬飼は八重と一夜をともにする。翌日、八重は犬飼の爪を切ってやりながら、自分の身の上話をする。八重は貧しい家に生まれ、借金を返済するために娼婦をしているのだった。犬飼は八重に盗んだ金の一部を渡し、大湊を去る。
やがて、殺人犯を追う弓坂刑事(右)が八重(左)の前に現れる。八重は犬飼をかばい、弓坂刑事には本当のことを話さなかった。その後、八重は犬飼の金で借金を返し、東京に出る。一方、身元不明の2遺体はやはり木島と沼田であることが判明する。だが、犬飼の行方はようとして掴めなかった。
八重は善良な女だった。八重は借金を返した後に残った犬飼の金には手を付けず、自分の稼ぎから貯金をした。八重は犬飼の恩を忘れることはなかった。
10年後、八重は犬飼と思われる人物の写真が載った新聞記事を目にして驚く。その人物とは舞鶴で食品会社を経営する樽見京一郎という実業家だった。
新聞は樽見京一郎が刑余者更正事業に私財3,000万円を寄贈したと報じていた。
八重(中央)は樽見京一郎に会うために東舞鶴駅に降り立つ。
八重(中)は東京で堅気になるつもりだったが、しばらくして再び娼婦になる。赤線での雇い主の本島進市(三井弘次、左)と妻妙子(沢村貞子、右)は親切だった。
以上が前半部。以下は略。
黒澤和子編『黒澤明が選んだ100本の映画』(文春新書、2014年)によると、黒澤明は「内田さんの映画人生は、波乱万丈だった。日本での映画製作を諦めて満州に渡り、甘粕正彦の自殺に立ち会い、中国風の姿で帰国して、何があったのか定かじゃないけど、彼の映画に対する執着の凄さが作品に出ている」といっていたそうだ。
飢餓海峡 予告編 - YouTube















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