澤柳大五郎著『ギリシアの美術』(岩波新書、1964年)。古代ギリシア美術の入門書。
「ギリシアの風景─序に代えて─」の冒頭(P1)。
ヨーロッパ人、特にアルプス以北の人がギリシアに就いて語るとき、まず第一に言うのは光と空気である。信じられないくらいの明るさと遠くの木の葉や礫(こいし)までもはっきりと見せて殆ど距離感を無くしてしまうような澄明な空気が北方のキムメリオイの目を瞠(みは)らせるのである。
※「キムメリオイ」は紀元前9世紀頃に南ウクライナに住んだ遊牧騎馬民族。
「アルカイク」の一節(P86)。
アルカイク美術の我々に与える印象を一口で言うなら、早蕨の萌え出でる早春の爽やかさとでも言おうか。
澤柳大五郎の文体にもまたアルカイックな印象がある。
澤柳大五郎著『ギリシアの美術』(岩波新書、1964年)
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