テオ・アンゲロプロス監督によるギリシャ・フランス・イタリア合作映画『蜂の旅人』(1986年)。老境に差し掛かった教師が突然職を辞し、家族とも別れ、養蜂家として春のギリシャを花を求めて旅する。原題: O Melissokomos、英題: The Beekeeper。写真は巣箱を並べて、蜂の世話のするスピロ(マルチェロ・マストロヤンニ)。
オープニングロールでスピロが蜜蜂の生態について幼い娘に話しかけているようなナレーションが流れる。「ほら聞こえるね」「歌みたいだろ」「女王蜂が生れるんだよ」「処女蜂が蜜蠟の牢から飛びたつんだ」「それを見張りの蜂が塞ぐ」「飛びたつのは女王になる蜂だけ」「他の処女蜂は控えなんだ」「雄蜂たちが水辺に翔ぶ」「女王蜂を迎えてみんなで空中に高く翔んで舞い、女王が雄蜂を選ぶ」「女王の舞いだ」。
北ギリシャの田舎町に春が訪れる。スピロ(マルチェロ・マストロヤンニ、右から2人目)の家では次女の結婚式が行われていた。
この日の夜、スピロ(右)は毎春恒例の養蜂の旅に出ることに決めていた。スピロの祖父や父も養蜂家だった。ただ、この年、スピロは長年勤めた小学校教師の職を辞し、妻(ジェニー・ルセア、左)には別れを告げていた。
結婚式の日の夕刻、スピロは家を後にする。
スピロ(左から2人目)は養蜂家の仲間たちと待ち合わせる。その後、彼らはそれぞれの旅に出発する。
スピロはトラックに巣箱を満載し、一人旅立つ。
スピロは花を求めて春のギリシャを巡る。
スピロは旅の途中でヒッチハイクをしていた若い娘(ナディア・ムルージ、奥)と知り合う。娘はスピロに付きまとい、スピロはやむを得ず、娘をトラックに同乗させる。
娘は奔放だった。
スピロ(右)は途中、旧友ニコス(ニコス・クーロス、左)とともに同じく旧友のセルジュ(セルジュ・レジアニ、中)を病院に見舞う。彼らは青年時代、反政府ゲリラとして活動した仲間だった。
スピロはかつて駆け落ちした長女アンナに会いに行く。アンナは夫とガソリンスタンドを経営していた。アンナは妹の結婚式には出席していなかった。
スピロは生まれ故郷の町で自分の生家を訪ねる。生家は廃屋のようになっていた。以下略。
蜜蜂の生態を伏線にしながら(あるいは娘たちの若さと対比させながら)、スピロの老いを描いた作品。字幕の翻訳は池澤夏樹。
『蜂の旅人』予告編 テオ・アンゲロプロス監督作品 - YouTube
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