エセー(続)

2025年5月上旬。ミシェル・ド・モンテーニュ著、原二郎訳『エセー(全6冊)』(岩波文庫、1965~1967年)、読了。枕元に置いて夜寝る前や夜中に目が覚めたときに読んだ。最初の投稿(2023年7月)が読み始めた頃だったので、読み終えるまでに2年近くかかったことになる。

Les Essais (1580) by Michel de Montaigne
Les Essais (1580) by Michel de Montaigne

『エセー』の自筆原稿
『エセー』の自筆原稿

『エセー』はモンテーニュが40歳の頃から59歳で亡くなるまでの間に執筆されている。何度も推敲や加筆を施したり、原稿の配列を組み替えたりしていて、読みにくいところもある。それでも、予想していたよりもずっと興味深く、読書の楽しみを思いださせてくれる本だった。もっと早くに読んでおくべきだったと少し残念に思っている。

最初の投稿では序文を引用した。今回は終章である第3巻第13章の「経験について」(岩波文庫版『エセー(六)』)から少し引用する。

「私はどの主題よりも自分を研究する。これが私の形而上学であり、自然学である」(134頁)。

「私はキケロの中よりも私の中で自分を知りたいと思う。もし私がよい生徒なら、私について経験したことの中に、私を賢くするものを十分に見いだすはずである」(136頁)。

「われわれは避けられないことを堪え忍ぶことを学ばなければならない。われわれの一生は世界の調和と同じように、相反すら事物から、また、いろいろの調子から、すなわち、おだやかなのと激しいのと、鋭いのと平たいのと、だらけたのときびしいのとからできている。その一方の音だけを好む音楽家に何ができるだろう」(163頁)。

「自分の存在を正しく享受することを知ることは、ほとんど神に近い絶対の完成である。われわれは自分の境遇を享受することを知らないために、他人の境遇を求め、自分の内部の状態を知らないために、われわれの外へ出ようとする」(207頁)。
 
「もっとも美しい生活とは、私の考えるところでは、普通の、人間らしい規範に合った、秩序ある、しかし奇跡も異常もない生活である」(208頁)。


File:Essays (Montaigne).jpg - Wikimedia Commons

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エセー

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