呪術師と私-ドン・ファンの教え

カルロス・カスタネダ著、真崎義博訳『呪術師と私-ドン・ファンの教え』(二見書房、1974年)。原題: The Teachings of Don Juan: A Yaqui Way of Knowledge

1960年の夏、UCLAで人類学を学ぶカルロス・カスタネダはメキシコから来たヤキ・インディアンの呪術師ドン・ファンと出会う。インディアンの使う薬草について調査していたカスタネダは1961年6月からドン・ファンの弟子として断続的に教えを受ける。

カルロス・カスタネダ『呪術師と私-ドン・ファンの教え』(二見書房、1974年)
カルロス・カスタネダ『呪術師と私ードン・ファンの教え』(二見書房、1974年)

ドン・ファンは3種類の幻覚性植物を使い分ける。すなわち、(1)ペヨーテ(メスカリト)、(2)ジムソンウィード(デビルズ・ウィード、ダツラ)、(3) きのこ、である。(1)は知恵あるいは知識の獲得、(2)と(3)は力(ドン・ファンは「盟友」と呼ぶ)の獲得と結びつけて使われる。カスタネダはこれら3種類の幻覚性植物についてドン・ファンから教えを受ける。

ペヨーテ
ペヨーテ

ジムソンウィード

ドン・ファンは自らの師のことばをカスタネダに伝える。「人は戦いに行くのと同じように油断なく、恐れと、注意と、絶対的な確信とをもって知におもむく。他の仕方で知や戦いに往くのはまちがいだ。そしてまちがいを犯した者は誰しも自分の道を後悔して生きることだろう」「人がその四つの要件を満たせば自分で責任をもたねばならない犯ちは存在しない」。

あるとき、カスタネダはドン・ファンに連れられて、メキシコのチワワ州にペヨーテの採集に行く。野外で野宿し、真夜中にドン・ファンが持参した乾燥させたペヨーテの芽を噛む。その後に見る幻覚体験の描写が具体的で細かい。カスタネダはこのとき「彼(メスカリト)」に会う。

カスタネダは「煙」についても学ぶ。煙草のようにパイプで吸うのだが、「きざみ」の作り方については具体的に示されない。ドン・ファンによれば、きざみの作り方は他人には絶対に明かしてならない秘密なのだ。

1965年9月、カスタネダは自分の意思でドン・ファンから教えを受けることを止める。

この本は多分にフィクションを含むと考えられているらしいが、幻覚性植物の実体験に関する記述には迫真性がある。


File:Peyote Cactus.jpg - Wikimedia Commons

File:Datura stramonium 2 (2005 07 07).jpg - Wikimedia Commons

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