アニエス・ヴァルダ監督による仏伊合作映画『5時から7時までのクレオ』(1962年)。若い歌手クレオには癌の疑いがあった。クレオが医師から検査結果を聞くまでの不安な2時間を描く。原題: Cléo de 5 à 7、英題: Cléo from 5 to 7。写真はクレオ(コリーヌ・マルシャン)。
午後5時。歌手のクレオ・ヴィクトワール(コリーヌ・マルシャン、左)は自分は癌ではないかと疑っている。クレオは2日前に病院で精密検査を受けた。今日午後7時に診断結果が出る。クレオはタロット占いで自分の運勢を占う。
タロット占いで不吉な結果が出る。この作品はモノクロだが、タロット占いのシーンだけカラーになる。
クレオはカフェで自分の付き人の中年女性アンジェール(ドミニク・ダヴレー)と会う。クレオは「占いに病気と出たわ」「もう私は死んだも同然だわ」と嘆く。アンジェールは心のなかで「幸福になれる娘だけど、まだ子供だから」「誰かが守ってやらなくてはね」と呟く。
クレオとアンジェールは外に出る。クレオは真夏に黒い毛皮の帽子を買う。
クレオとアンジェールはタクシーで家に帰る。ラジオから自分の歌声が流れると、クレオは運転手に「(ラジオを)とめて」という。
クレオが家に帰ると年上の恋人ホセ(ホセ・ルイス・デ・ビラロンガ、右)が訪ねてくる。だが、ホセは「とても忙しい」といってすぐに帰る。
入れ替わりに作曲家ボブ(ミッシェル・ルグラン、手前)と作詞家がやってくる。ミッシェル・ルグランはこの作品の音楽も担当している。
クレオはパリの街を歩き回る。だが、心を落ち着かせることはできない。
クレオ(右)は友人ドロテ(ドロテ・ブラン、左)を訪ねる。二人はドロテの恋人ラウル(レイモン・コーシュティエ、中)が映写技師として働く映画館に行く。買ったばかりの帽子はドロテにプレゼントする。
ドロテと別れたクレオ(中)はモンスリ公園でタクシーを下りる。
モンスリ公園でアントワーヌという男(アントワーヌ・ブルセイエ、右)が話しかけてくる。
クレオは次第にアントワーヌと親しくなる。アントワーヌは休暇中の兵士だった。彼は今夜パリを発ち、アルジェリア戦争に戻ることになっていた。
クレオ(左)はバスで病院に向かう。アントワーヌ(中)はクレオに付き添う。
クレオは病院の受付で担当のヴァリノ医師は帰ったといわれる。
仕方なく、クレオはアントワーヌと病院の庭を歩く。
二人は病院の庭のベンチに腰をかける。クレオはアントワーヌに連絡先を尋ねる。
そこに帰ったはずのヴァリノ医師(ロバート・ポステック)が車で通りかかる。不在というのは受付の確認ミスだった。検査結果は初期段階の癌だった。だが、クレオが心配していたほどではなかった。
ヴァリノ医師は「そう心配はいりません」「放射線治療は少々きついが必ず治ります」「では明日11時に」といって去る。
クレオは「私もう怖くないようよ」「何か幸福な感じよ」とアントワーヌにいう。
クレオの不安と心の揺らぎがこちら側にも伝わってくる。アルジェリア戦争も影を落としている。
Cleo from 5 to 7 / Cléo de 5 à 7 (1962) - Trailer - YouTube
予告編。英語字幕付き。
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