三浦雅士『青春の終焉』(講談社、2001年)。「青春」を主題に近代日本の文学と思想を論じた著作。初め、文芸誌『群像』に連載された。
1960年代から1970年代にかけて、思想的にはマルクス主義や実存主義から構造主義やポスト構造主義に関心が移っていく時期を俯瞰しながら、小林秀雄、中村光夫、江藤淳、ドストエフスキー、バフチン、柳田国男、レヴィ=ストロース、フーコー、三島由紀夫、太宰治、吉本隆明らを縦横無尽に論じた前半部分が圧巻。
三浦雅士の華麗で畳み掛けるような論理展開には決め付けや飛躍も多い。ただ、この辺はあまり気にせずに読むべきなのだろう。文学や思想に関する難解になりがちな内容を面白く読ませるのは大した芸だと思う。
全編を通して1960年代と小林秀雄に関する記述が多い。1946年生まれの三浦雅士にとっては青年期の精神史でもあるのだろう。太宰治や「故郷」に紙幅を割いているのも背後には自身の生まれ故郷の津軽への郷愁が感じられる。
Vincent and Tony (1969) by Alex Katz
『青春の終焉』(三浦 雅士):講談社学術文庫|講談社BOOK倶楽部
2012年に文庫化された。
Vincent and Tony | The Art Institute of Chicago
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