キャッツ

ミュージカルは数回見ただけだが、忙しなく繰り返される台詞、歌、演技、踊りの混在が煩わしく、あまり好きではない。もう見ることもないだろう。ただ、何事にも例外はある。『キャッツ』は歌と踊りにフォーカスした作品で、その歌と踊りが上質で素晴らしいと思った。ストーリーも気が利いている。原題: Cats
Musical - Cats

『キャッツ』はT. S. エリオットの台本と詞、アンドルー・ロイド・ウェバーの作曲によるミュージカル。都会のごみ捨て場に集まった猫たちが歌って踊る。出演者は全員猫の役。1981年にロンドンで初演された。

オープニングの「序曲」が始まると、劇場内のあちこちに潜んでいた猫たちがステージにゆっくりと集まる。猫のジェリクル族である。続いて、猫たちが月明かりの下で「ジェリクル猫のためのジェリクル・ソング(Prologue: Jellicle Songs for Jellicle Cats)」を歌う。猫たちは毎年集まり、1匹のジェリクル猫を選ぶ。ジェリクル猫は天上に昇り、新たな生命を得て生まれ変わる。
Musical - Cats



みすぼらしく孤独な老猫グリザベラの歌う「メモリー(Memory)」。第1幕と第2幕で二度歌われる。この映像ではグリザベラはロンドン初演時のエレイン・ペイジが演じている。
Musical - Cats



続いて、全員で「ヘビーサイド・レイヤーへの旅(The Journey to the Heaviside Layer)」を歌う。グリザベラ(右上)がジェリクル猫に選ばれ、天上に昇る。
Musical - Cats


『キャッツ』はニューヨークのブロードウェイにあるウィンターガーデンシアターで見た。本場のミュージカルの、特にダンスの水準の高さは予想を上回るものだった。日本人のダンサーもいた。

フィナーレでは音楽に乗って出演者が一人ずつステージ中央に進み出て、思い思いのポーズで観客に挨拶する。ある牝猫が登場したとき、舞台左手の袖から突然一匹の牡猫が走り寄り、片膝を落として牝猫に花束を捧げた。牝猫はサプライズに驚き、その後二人はしばらくの間抱擁していた。他の出演者は遠巻きに拍手している。当然アナウンスなどなく、事情は分からなかったが、いいものに立ち会えた気分になった。


File:CatsMusicalLogo.jpg - Wikipedia

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