人間は何を食べてきたか 第1集 肉

NHKのドキュメンタリー番組『人間は何を食べてきたか ~食と文明の世界像~』シリーズの「第1集 一滴の血も生かす -肉-」(BS1: 1984年12月31日放送)。ヨーロッパの食生活における肉の役割について取材している。写真はドイツの肉屋に並ぶソーセージ。
人間は何を食べてきたか 第1集 肉

ドイツの農村では飼育している豚を屠殺して、ソーセージやベーコンを作る。バイエルン州シュヴァインフルト(「豚の渡る浅瀬」という意味)郊外の農村アリツハイムに住むビュットナー家では3カ月に1頭を屠殺する。屠殺と解体は技術を身につけた近所の人に頼む。家族はそれを手伝う。この豚はビュットナー家で10カ月間飼育した体重120kgの牡。
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豚の解体には2時間半かかった。仕事は手際がよく、刃物はよく切れる。子どもたちは自分たちが飼育した豚の解体の一部始終をじっと見ている。肉を食べる前には屠殺があることを小さい頃から自然に理解している。

次にソーセージ作りに取り掛かる。肉にゼラチン質を含んだ皮をつなぎとして加えて肉挽機にかけ、小腸に詰めてソーセージを作る。脂肪は大半をラードにして、一部をソーセージに混ぜる。
人間は何を食べてきたか 第1集 肉

瓶に詰めるソーセージ。どのソーセージをどのくらい作るかはその家の主婦が決める。
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次にブルートヴルスト(血のソーセージ)を作る。刻んだ心臓や腎臓などの内臓と血と脂肪を混ぜ、胃袋に詰める。切ったときに血の赤、心臓のピンク、腎臓の紫、脂肪の白といった色合いの違いが美しく組合わさるように作る。ときどき生のまま味見する。この後ゆでる。
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ゆでた顔の肉を刻んで膀胱に詰めるバイサープレサック。ゆでた顔の肉はザルに入れ、上からゆで汁をかけ流していた。
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ソーセージをゆでる。温度計を入れて低温でゆでている。この日は解体を始めてから全行程4時間かかった。
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豚を解体した翌日、農家の主婦がバラ肉でベーコンを作る。7人家族の3カ月分の食料として、50kgの精肉、20kgのベーコンとハム、40kgのソーセージができた。目玉と蹄以外はすべて使う(もちろん胃や腸の内容物は洗い流していた)。1年に4回作るうち秋に作ったソーセージが一番おいしいという。
人間は何を食べてきたか 第1集 肉

近所の人たちを招き、土地の白ワインと自家製のライ麦パンを添えて、出来立てのソーセージをふるまう。この村の人たちは昔からこうしてきた。
人間は何を食べてきたか 第1集 肉

ドイツだけでなく、フランスも取り上げられる。パリに住むユダヤ人の肉の扱い方など興味深かったが割愛。写真はパリ郊外のランジス公益市場に並ぶ野生の鳥獣。
人間は何を食べてきたか 第1集 肉

このNHKの『人間は何を食べてきたか』は「ジブリ学術ライブラリー」としてDVD化されている。今回はそのDVDで見た。豚の射殺シーンなどは静止画に置き換えられていた。数秒間の映像だが残念な編集だと思う。それにしても40年近く前に制作された番組だ。こうした食習慣は今も変わっていないのだろうか。


人間は何を食べてきたか - Wikipedia

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