歴史

ヘロドトス著、松平千秋訳『歴史(上中下)』(岩波文庫、1971年)。古代ギリシャの歴史書。実際に読む人は多くはなさそうだが、読んでみると意外に面白い。例えば、エジプトでは「小便は女は立ってし、男はしゃがんでする」(上巻183ページ)といった類いのエピソードが際限なく出てくる。

バビロンの風習に関する章では「その中でも一番気が利いていると私が思うのは、次のような風習である」として、以下のような話が登場する(上巻146~147ページ)。

それは毎年一回次のような行事が行われたのである。嫁入りの年頃になった娘を全部集めて一所に連れてゆき、その周りを男たちが大勢とり囲む。呼出人が娘を一人ずつ立たせて売りに出すのである。先ず中で一番器量のよい娘からはじめるが、この娘がよい値で売れると、次に二番目に器量のよい娘を呼び上げる。ただし娘たちは結婚のために売られるのである。
(中略)
呼出人が一番器量のよい娘たちを一通り売り終わると、今度は一番器量の悪い娘あるいは娘の中に不具のものがあればその不具の娘を立たせ、最少額の金を貰ってこの娘を娶ろうという男は誰かということで、この娘をせりに出すのであるが、結局娘は最少の額を申し出た者に落ちる。金は器量のよい娘たちから入るのであるから、要するに器量のよい娘が、不器量な娘や不具の娘に持参金をもたせて嫁入りさせたことになるのである。
(引用はここまで。)

『ヘロドトスの胸像』(古代アゴラ博物館蔵、2世紀)
Bust of Herodotus


File:AGMA Herodotus 7307.jpg - Wikimedia Commons

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