桜桃の味

アッバス・キアロスタミ監督によるイラン映画『桜桃の味』(1997年)。自殺願望の中年男性を描いた作品。原題: ...طعم گیلاس, Ta’m-e gīlās...、英題: Taste of Cherry。写真はテヘラン近郊の荒れ地を行く主人公バディのレンジローバー。
Movie - Taste of Cherry

中年男性のバディ(ホマユン・エルシャディ)はテヘランの郊外を車でゆっくりと巡っていた。バディは自殺するつもりで自分の自殺に協力してくれる相手を探していた。
Movie - Taste of Cherry

バディはまず若いクルド人の兵士(サファル・アリ・モラディ)を兵舎まで送るといって車に乗せ、テヘラン郊外の山に連れて行き、自殺への手伝いを持ちかける。
Movie - Taste of Cherry

バディの依頼は次のようなものだった。自分は夜のうちに山に掘った穴に睡眠薬を飲んで横たわる。相手には「朝6時にここで僕の名を2度呼べ」「僕が返事をしたら手をとって穴から出せ」「返事がなかったシャベルで20杯土をかけてくれ」と頼んだ。報酬は20万トマンの大金だった。
Movie - Taste of Cherry

若いクルド人兵士はバディの依頼を断り、山を走り下りる。
Movie - Taste of Cherry

バディは次にアフガン人の神学生(ミール・ホセイン・ヌーリ)に依頼する。神学生も『コーラン』の「自らの手で自らを殺すな」という言葉を引用して依頼を拒む。
Movie - Taste of Cherry

バディは3人目にトルクメン人の年配の剥製師バゲリ(アブドラマン・バゲリ)に依頼する。バゲリは自分も自殺を考えたことがあると語って思い止まるよう諭すが、最終的にバディの依頼を引き受ける。
Movie - Taste of Cherry

バゲリは翌朝の依頼の実行を約束して、バディと別れる。
Movie - Taste of Cherry

その夜、バディは暗闇の中を山に掘られた穴に車を走らせる。
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主役のホマユン・エルシャディはこの作品がデビュー作。エルシャディは元々建築家で、テヘランの交通渋滞の中で車に乗っているところをキアロスタミ監督に見出されたそうだ。

この作品は1997年の第50回カンヌ国際映画祭で最高賞のパルム・ドールを受賞した。同時受賞は今村昌平監督による松竹映画『うなぎ』(1997年)。

世界的な映画祭でグランプリを受賞するような作品や監督とは相性がよくない(当然ながら例外も多い)。この作品にも感心しなかった。長回しを多用してゆっくりと進む個々のシーンには印象的なものがあるのだが、全体としては、大きな問題を提起しているようでいながら、ただの思わせ振りに終始しているようにしか思えなかった。もちろん、こういう作品と相性のいい人も沢山いるのだろうが。


Taste of Cherry - 1997 Trailer - YouTube

Taste of Cherry (1997) | best part | Abbas Kiarostami - YouTube

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