溝口健二監督による第一映画社映画『浪華悲歌』(1936年)。「なにわえれじい」と読む。大阪を舞台に関西言葉で演じられる悲恋物語。溝口健二の戦前の代表作の一つ。主演の山田五十鈴は当時19歳。前年に瑳峨三智子を出産した後の復帰第一作。英題: Osaka Elegy。
村井アヤ子(山田五十鈴)は大阪の麻居製薬という薬種問屋で電話交換手をしている。
アヤ子は同僚の西村進(原健作)と交際していた。
アヤ子の父親(竹川誠一、右)は甲斐性がなく、アヤ子頼りの家計はひっ迫していた。奥は女学校に通う妹(大倉千代子)。
アヤ子は苦しい家計を支えるため、雇い主の麻居惣之助(志賀廼家弁慶、左)の愛人になる。
麻居の妻に浮気が疑われ、アヤ子はやむなく麻居の友人で株屋の藤野喜蔵(進藤英太郎、左)に鞍替えする。
アヤ子は西村と結婚したいと思い直すが、藤野から金を騙し取ろうとして警察に捕まる。写真は刑事(志村喬、左から2人目)に踏み込まれるアヤ子と西村。
アヤ子は警察から釈放されるものの、家族も西村もアヤ子に冷たく接する。右はアヤ子の兄(浅香新八郎)。大学生の兄は自分勝手で頼りにならない。妹は世間体ばかりいう。さすがに父親はアヤ子に済まなそうな態度を見せるが、口には出さない。
アヤ子は家を出ることを決意する。
この作品には戦前の大阪の街並みや風俗が映し出される。1945年の大阪大空襲で焼失した四ツ橋文楽座での文楽公演(写真)など貴重な映像だと思う。
Osaka Elegy / 浪華悲歌 (1936) (EN/BR/ES) - YouTube
全編。外国語字幕。
コメント