国立能楽堂

2023年6月13日(火)、千駄ヶ谷の国立能楽堂で第31回青翔会を見る。若手能楽師の技能研鑽のための能楽研修発表会である。演目は舞囃子『小袖曽我』(柏崎真由子)、同『女郎花』(金森隆晋)、同『野守』(佐藤寛泰)、狂言『柿山伏』(木村直樹)、能『吉野天人』(関根祥丸)。

国立能楽堂は大江宏が設計した。大江宏は建築家をしている友人の結婚式で主賓として「新郎は建築家としては未熟だが、素晴らしい伴侶を見つけた。君を初めて褒める!」というような挨拶をした。不思議なスピーチをする人だと思い、今でも憶えている。
国立能楽堂

国立能楽堂の能舞台。みみっちい話で恐縮だが、能のチケット料金は舞台を正面から見る正面席が最も高く、二番目は真横から見る脇正面席で、写真のように斜めから見る中正面席が最も安い。手前の柱が鑑賞の妨げになるせいか。舞台が立体的に見える中正面席が好きなので、こうした料金体系はありがたい。
国立能楽堂 - 能舞台

演目では『吉野天人』がよかった。話が少し逸れるが、『吉野天人』の大鼓は亀井広忠だった。今月3日に父親で能楽囃子方の重鎮だった亀井忠雄を亡くし、その喪主を務めたばかりだ。亀井広忠はまだ50歳になっていないはずだが、最近急に白髪が増えてきたと思っていたら、今度は容貌が父親に似てきていて驚いた。若い頃はもっと構えが大きくて前のめりに大鼓を打っていたような印象がある。今後どう変わっていくのだろうか。シテを演じた関根祥丸も若くして父親の関根祥人を亡くしている。この日は思うところがあったのだろう。気迫が籠っていた。


能楽界を代表する大鼓奏者、人間国宝の亀井忠雄さん死去…81歳 : 読売新聞

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