三遊亭圓丈と狛犬

2021年11月に亡くなった落語家の三遊亭圓丈は新作落語で有名だった。寄席にはそれほど行ったことはないが、なぜか圓丈が出演していることが多く、その口演には何度も接した。

最も印象に残っているのは国立演芸場の「円丈百席を聴く会」(2016年12月23日)の新作人情噺『インドの落日』。この頃の圓丈は記憶力の衰えから高座に見台を置いて台本を読みながら演じていたが、この日は途中をごっそり読み飛ばしたりしていた。それにも関わらず、素晴らしい落語だった。もう一度聴いてみたい。国立演芸場はこの日の『インドの落日』の録音を世に出すつもりはないのだろうか。

『遥かなるたぬきうどん』。

三遊亭円丈 「名古屋版金明竹」 - YouTube

三遊亭円丈『悲しみは埼玉に向けて』 新作落語 - YouTube

三遊亭圓丈は狛犬が好きだった。『THE 狛犬!コレクション 参道狛犬大図鑑』(立風書房、1995年)という本まで出している。圓丈の自宅のある東京都足立区六町に近い(といっても圓丈は高座で綾瀬駅まで徒歩50分といっていたが)綾瀬稲荷神社には圓丈が奉納した狛犬があるという。先日近くに用事があったので、ちょっと立ち寄った。

右側の阿形の狛犬。2000年4月の建立。落語家のように座布団に座り、手前には扇子、手拭い、茶托が置かれている。片耳が大きく開いているのはお客の反応を聞くためだそうだ。右前肢が少し浮き加減でこれからお手をしそうなのが可笑しい。小松石(安山岩)で彫られ、石の質感を残すため磨きはかけていない。変わった趣向はあるものの、全体に古式ゆかしく格調の高い狛犬だと思う。
綾瀬稲荷神社

左側の吽形の狛犬。高さ62cm。台石の「獻」の題字は五代目柳家小さんの筆。
綾瀬稲荷神社

台石側面の「落語狛犬繁栄祈願」の碑文。落語と狛犬の末永い繁栄を祈念している。狛犬に魅せられて四千数百の神社を巡ったという下りもある。圓丈の叔父で書道家の大角凡徹氏の筆になる。
綾瀬稲荷神社

狛犬の尾は扇形に広がっている。背中は紋付だが写真では判然としない。左側の吽形の狛犬。
綾瀬稲荷神社

綾瀬稲荷神社は東京メトロ千代田線綾瀬駅近くの住宅に囲まれた一角にある。御祭神は宇迦之御魂命(うかのみたまのみこと)。幕末に新選組が綾瀬(当時は五兵衛新田)に駐屯した際はこの神社や別当寺の観音寺にも分宿したそうだ。
綾瀬稲荷神社


「円丈百席を聴く会」(国立演芸場、2016年12月23日)。


これが落語狛犬だ
狛犬建立の経緯。

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