溝口健二監督による松竹映画『残菊物語』(1939年)。戦前の溝口作品のうち散失を免れた数少ない映画の一つ。歌舞伎の二代目尾上菊之助(花柳章太郎)とお徳(森赫子)身分違いの恋を描いた悲恋物語。英題: The Story of the Last Chrysanthemums。
五代目尾上菊五郎の養子の二代目尾上菊之助は周囲からちやほやされ、芸がなかなか上達しない。それを見たお徳は菊之助を励ます。一念奮起した菊之助はお徳との結婚を望むが、周囲から反対され、お徳とともに旅回りの一座に身を投じる。お徳は苦境の菊之助を懸命に支え、菊之助の出世への道筋をつける。
溝口健二は戦前の作品に優れたものが多い。ただ、散失したり、欠落部分の激しい作品が多い。保存状態のよい『残菊物語』は大変に貴重だ。
森赫子のお徳が素晴らしい。森赫子は惜しいことに早くに失明して引退した。新藤兼人監督による近代映画協会映画『ある映画監督の生涯 溝口健二の記録』(1975年)ではサングラス姿で溝口の思い出を語っていた。
残菊物語 - Wikipedia
Zangiku monogatari (AKA The Story of the Last Chrysanthemums) (1939) (English Subtitles) - YouTube
英語字幕。
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