仏壇にお供えする御膳。東北の実家では「おりぐぜん」と呼んでいたが、標準語的には「おりょうぐぜん」と読むらしい。実家では仏事のときはもちろん、御盆、御彼岸、月命日などには家にお坊さんに来てもらい、その日はご飯と一汁三菜に水を添えて御霊供膳用の朱塗りの小振りな御膳にのせ、仏壇にお供えしていた。内容は肉、魚、ネギなどを使わない精進料理。出汁も昆布や干し椎茸でとっていた。
子どものころの記憶では、御霊供膳は祖母が用意することが多く、三菜ではなく五菜にしていた。また、祖母はその日は御精進と称して自分も肉や魚を食べなかった。
東京の家には仏壇もないので何もしないが、実家にいるときはときどき朝食の前に御霊供膳を仏壇にお供えする。季節の野菜の煮物、漬け物、和え物などで三菜を準備するだけなので、さほど面倒でもない。料理ができたら、まず御霊供膳のために取り分け、残りは自分の朝食にする。
2023年3月21日の朝の御霊供膳。上段左はふきのとうの煮物、右はふきのとうの白和え。中央はアカモクの酢のもの。下段左はご飯、中は水、右は豆腐と若布とふきのとうの味噌汁。ふきのとうは実家の庭に自生しているもの。今日は御彼岸の中日なので、別の皿で赤飯をお供えする。
ご飯は仏様がひもじい思いをしないように大盛りにするものらしい。いつもは普通盛りだが、家にお坊さんに来てもらうときはてんこ盛りにする。お坊さんはお経を唱えながら、箸先で水をご飯に垂らし、ご飯を少し水に落として、その箸をご飯に垂直に立てる。
御彼岸などに限らず、ときどき故人の好きだった料理を思い出しながら、御霊供膳をお供えするのは悪くないものだと思う。
実家では御霊供膳は毎朝お供えするものではなく、通常は水、お茶、仏飯をお供えしていた。仏飯器は3つで1組のものを使っていた。
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