〇と△の歌

羽仁進監督による岩波映画『不良少年』(1961年、英題: Bad Boys)の挿入歌。この映画の音楽は当時30歳の武満徹が担当した。「〇と△の歌」は武満自身による作詞、作曲。英題:  A Song of Circles and Triangles。現場でほとんど即興で作ったそうだ。

『不良少年』は窃盗罪で捕まった浅井少年の東京少年鑑別所での生活を綴った作品。記録映画的手法で撮られている。「〇と△の歌」はラスト20分くらいの運動場でのシーンのバックに流れる。この歌はこの映画でのように素人がさらっと口ずさむのが似合う。歌い手が表情を工夫したり、技巧を凝らしたりすると、本来の持ち味からどんどん離れていくような気がする。

主人公の浅井少年(山田幸男)。
不良少年

歌詞はこんな感じだ。

地球は丸いぜ
りんごは赤いぜ
砂漠は広いぜ
ピラミッドは三角だぜ

グラウンドは広いぜ
ボールは丸いぜ
ロシアはでかいぜ
バラライカは三角だぜ
(以下略)

武満徹:〇と△の歌(羽仁進『不良少年』1961 より) - YouTube

余計なことだが、武満徹とは至近距離で遭遇したことがある。日中の空いている西武池袋線の三人掛シートで一席おいて隣だった。最初は不思議な容姿の女性かと思った。背筋を伸ばし、微動だにしないで、向かい側の車窓に流れる風景をまっすぐ見ていた。ただ風景を見ているというよりも、何か考え事をしていたのかもしれない。穏やかでいながら緩みのない横顔は別世界の住人のようだった。

武満徹(1961年)
武満徹


初DVD化!!羽仁進の衝撃的劇映画デビュー作『不良少年』 - YouTube

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