金井美恵子の詩「ハンプティに語りかける言葉についての思いめぐらし」。詩集『マダム・ジュジュの家』(思潮社、1971年)所収。一部引用。
ハンプティに語りかける言葉についての思いめぐらし
おお、ハンプティ・ダンプティ!
おお! 詩人
ひそかにあんたのことを思い出すわ。
最初の一口が杏子の味のする煙草、
胃から吐き出す時、
新しい酸っぱい肉芽が胃の縁で翻転する。
あたしはあんたのことを考える。
言葉という言葉を、その固まらない粘液を、
お! ハンプティ、分解して
その縁をめぐって、逆さまに
落ちていくあんたの姿!
(以下略)
註 ハンプティ・ダンプティ
《鏡の国のアリス》に登場する卵の形をしたひどく居丈高でえばりちらすくせに臆病な詩人。それは彼が卵だからで、なにしろ落っこったら割れてしまうのに違いないのだから、無理もないし、ハンプティは多分それを良く知っている筈だ。
(引用ここまで)
『金井美恵子詩集』(思潮社、1973年)

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