名も知らぬ遠き島より

日高恒太朗著『名も知らぬ遠き島より』(三五館、2006年)。副題は「ひとり身の渚を枕に [種子島・屋久島・吐噶喇] 亜熱帯漂流」。鹿児島県の種子島、馬毛島、屋久島、口永良部島、三島村(竹島、硫黄島、黒島)、十島村(口之島、中之島、平島、諏訪之瀬島、悪石島、小宝島、宝島)の紀行ルポ。著者は種子島出身。

日高恒太朗著『名も知らぬ遠き島より』(三五館、2006年)
日高恒太朗著『名も知らぬ遠き島より』(三五館、2006年)

この本は最初、『島の食事』(透土社、2001年)として発行されたが、その直後に版元が倒産したため、内容の見直しを経て、別の出版社から書名も変えて発行されたのだそうだ。そうした経緯のせいか、この本の内容にはちぐはぐなところがある。

著者は種子島に生まれ、中学一年の夏休みに進学を口実に自ら島を離れた。だが、その実体は都会への憧れだった。この本のあちこちに著者の懐旧の思いが滲み出し、それに少なからず後悔が混じっているのには共感を覚える方も多いことだろう。

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