宮田律著『ガザ紛争の正体』(平凡社新書、2024年)。2023年10月7日のハマスの奇襲に端を発したガザ紛争の背景にあるイスラエルとパレスチナの関係についてコンパクトに解説した新書。
ガザ紛争が始まったころ、わが国の新聞やテレビでは「ハマスというテロ組織が多くのイスラエル人を殺害し、捕虜として連れ去った」「イスラエルは人質を取り戻すために軍隊を投入した」というイスラエル側の視点に立った報道が多く、紛争が長期化するにつれて、次第に「イスラエル側の非人道的な攻撃」「パレスチナは悲惨な状況に置かれている」といった中立的あるいは第三者的な見方に移ってきたように思う。
『ガザ紛争の正体』の内容は、終始パレスチナ側に寄り添い、問題はイスラエルの過激なナショナリズムにあるというスタンスで一貫している。ヨーロッパに根強い反ユダヤ主義、イギリスの三枚舌外交、ユダヤ人のパレスチナ帰還、アメリカのイスラエル支持、アラブ諸国に拡がる反イスラエルおよび反アメリカの動き、イスラエルにおける極右勢力の台頭、イスラエルのネタニヤフ首相や閣僚の右派的政治スタンス、イスラエルのパレスチナに対するアパルトヘイトやジェノサイド、ユダヤ人によるイスラエル批判、アメリカ若年層のパレスチナへのシンパシーなどの事柄について、新しい情報を交えながら、手際よく解説している。
一方、ハマスによる奇襲や9.11同時多発テロ事件など起こるのも当然と云わんばかりの論調なので、違和感を覚える方もあるかも知れない。
宮田律氏のブログでも当然ながら同じ趣旨の主張が展開されている。
宮田律|note
「武力や暴力は何かをなすことはできるが、すべてをなしうるとはかぎらない」(モンテーニュ『エセー』第2巻第17章「自惚について」、岩波文庫版(四)86頁)。
ガザ紛争の正体 - 平凡社

コメント