ルバイヤート

11世紀ペルシアの詩人オマル・ハイヤームの四行詩集『ルバイヤート』(岩波文庫、1948年)。小川亮作訳。オマル・ハイヤーム(Omar Khayyam)は1048年に生まれ、1131年に亡くなった。数学者、天文学者、哲学者、詩人として名を成した。

オマル・ハイヤーム
Omar Khayyam

〈2〉
もともと無理やりつれ出された世界なんだ、
生きてなやみのほか得るところ何があったか?
今は、何のために来り住みそして去るのやら
わかりもしないで、しぶしぶ世を去るのだ!

〈23〉
二つ戸口のこの宿にいることの効果(しるし)は
心の痛みと命へのあきらめのみだ。
生の息吹いぶきを知らない者が羨しい。
母から生まれなかった者こそ幸福だ!

〈50〉
われらは人形で人形使いは天さ。
それは比喩ではなくて現実なんだ。
この席で一くさり演技(わざ)をすませば、
一つずつ無の手筥(てばこ)に入れられるのさ。

〈99〉
おれは有と無の現象(あらわれ)を知った。
またかぎりない変転の本質(もと)を知った。
しかもそのさかしさのすべてをさげすむ、
酔いの彼方にはそれ以上の境地があった。

〈106〉
ないものにも掌の中の風があり、
あるものには崩壊と不足しかない。
ないかと思えば、すべてのものがあり、
あるかと見れば、すべてのものがない。

ジャズ・アルトサックス奏者のチャーリー・パーカーは『ルバイヤート』を愛読していたそうだ。


オマル・ハイヤーム 'Umar Khaiyam 小川亮作訳 ルバイヤート RUBA'IYAT
岩波文庫版のテキストは青空文庫に収録されている。

File:Omar Khayyam2.JPG - Wikimedia Commons

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