阪本順治監督によるキノフィルムズ映画『一度も撃ってません』(2020年)。売れないハードボイルド作家が実は殺し屋稼業の片棒を担いでいて、そのことで自分が殺し屋に狙われる羽目になるというコメディ映画。英題: I Never Shot Anyone。写真は左から石田(岸部一徳)、ひかる(桃井かおり)、市川(石橋蓮司)、弥生(大楠道代)。千鳥足に年季が入っている。
市川進(石橋蓮司)は74歳。表の顔は御前零児という筆名の売れないハードボイルド作家だが、裏の顔は「サイレントキラー」と呼ばれる殺し屋だった。といっても、市川は殺人の依頼を本物の殺し屋に丸投げするだけで、自分で殺しを実行したことはなかった。市川はバー「Y」の常連である。
市川の妻弥生(大楠道代)は元学校教師。この家のローンは弥生が払い、今は弥生の年金で暮らす。二人に子どもはない。なお、市川弥生という役名は山本薩夫監督『浮草日記』(1955年)で津島恵子が演じた女役者の名前と同じである。
職人の今西友也(妻夫木聡、左)が市川(右)が引き受ける殺しの実行役だった。
市川は今西から犯行時の様子を細かく聞き、自分の小説にそのまま書いていた。だが、その小説を出版社に持ち込んでもいつもボツだった。
市川の担当編集者の児玉道夫(佐藤浩市、左)は定年目前だった。児玉は生意気な部下の五木要(寛一郎、右)に市川の担当の引き継ぎを頼む。ちなみに、寛一郎は佐藤浩市の息子。
市川に殺しを仲介するのは石田和行(岸部一徳、左)だった。石田は元検事で女好きで身を崩した。バーテンダーの中道亜美(前田亜季、右)は実は石田の娘なのだが二人は疎遠だ。
バー「Y」の店内(上のバーとは違う)。左から、市川、バー「Y」のマスターのポパイこと南雲雄平(新崎人生=プロレスラー)、元ミュージカル女優の玉淀ひかる(桃井かおり)、石田。市川、石田、ひかるは若い頃からの付き合いでこの店の常連だった。
弥生(右)はひかる(左)が市川の浮気相手ではないかと勘繰る。バー「Y」が店をたたむという夜、弥生はバー「Y」にひかるを尋ねてやってくる。
ある暴力団が石田や市川のことを嗅ぎ付ける。そのことを伝え聞いた市川らが戦々恐々とするなか、同じ夜、暴力団の雇った中国人の殺し屋の周雄(豊川悦司)がバー「Y」に現れる。以下略。
どうということもない喜劇を出演者が真面目に演じている。石橋蓮司を見ているだけでも充分楽しめるのに、他にも役者が揃っている。これだけのキャストで撮影期間は2週間だったそうだ。安川午朗による音楽(ジャズ)もいい。
『一度も撃ってません』60秒予告(7月3日公開) - YouTube
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