すごいトシヨリBOOK

池内紀『すごいトシヨリBOOK』(毎日新聞出版、2017年)。池内紀は70歳になったとき、市販の手帳の最初のページに「すごいトシヨリBOOK」と書き、続いて「七十七のときには世の中にいない」という予定を立て、70歳以降の老いの日々に気がついたことを記す「自分の観察手帳」を作った。本書は77歳を目前にした池内紀がその手帳をもとに「楽しく老いる秘訣」を綴ったものである。

『すごいトシヨリBOOK』の内容については割愛するが内容は悪くなかった。売れ行きもよかったらしい。続きがあれば読みたいところだが、残念なことに、本書が上梓された2年後の2019年に池内紀は78歳で急逝した。

池内紀が亡くなった3年後に続編の『すごいトシヨリ散歩』(毎日新聞出版、2021年)が出た。こちらは池内紀と川本三郎の対談集である。川本三郎が「あとがき」で池内紀とのエピソードを書いている。

「私は2008年に7歳年下の家内を癌のために失なった」「家内が亡くなる数日前、依頼されていた原稿の〆切りが迫っていた。とても書く余裕はない。どうすればいいのか。困った末に池内さんにかわってほしいと頼んだ。急な依頼なのに池内さんは引き受けてくれた。友情の有難さをこれほど感じたことはない」。

「池内紀さんは2019年、8月30日に亡くなられた。奥様によると、夜、寝ていてそのまま静かに逝かれたという」。

「いまこの対談を読み返してみると、目の前に池内さんの笑顔、あのゆったりとした播州弁を思い出し、あたたかい気持ちになる。尊敬できる年上の友人を持ったことの幸せを思う」。


すごいトシヨリBOOK トシをとると楽しみがふえる | 毎日新聞出版
池内紀『すごいトシヨリBOOK』(毎日新聞出版、2017年)

すごいトシヨリ散歩 | 毎日新聞出版

コメント