鯛のかぶと焼き

以前に米国在住のある日本人男性と知り合った。食事も何度かともにした。その男性は神奈川県生まれで両親は東北地方の出身だった。子どもの頃は度々両親の実家に里帰りし、祖父母に可愛がられたという。その男性は若いときに米国に渡り、米国の企業に就職し、米国人女性と結婚した。相手はシカゴ出身の白人女性だそうだ。

新婚の頃に二人で来日し、田舎に住む祖父母を訪ねたことがあった。祖父母は久しぶりに会う孫と米国人の花嫁を歓迎し、ご馳走を用意してくれた。そのなかに立派な鯛のかぶと焼きがあった。ところが米国人の花嫁は食卓の鯛のかぶと焼きを見て、泣き出してしまったのだそうだ。日本人の感覚からすると大きな鯛のかぶと焼は最上のおもてなし料理の一つだと思うのだが、米国人にはひどく残酷でグロテスクなものに見えてしまうものらしい。男性は「あのときは本当に困りました」といっていた。

4月中旬某日。夕食の鯛のかぶと焼き。鯛の頭は近所のコープで買った。小振りだが天然ものだった。
鯛のかぶと焼き

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