C. W. ニコル『冒険家の食卓』(角川書店、1983年)は若かりし頃のC. W. ニコルの世界漫遊と料理に関する冒険譚にして青春記。角川書店刊『野生時代』の1979年5月号から1980年10月号までに渡って「ニックの特別お料理講座」と題して連載されたエッセイの単行本化。
C. W. ニコル『冒険家の食卓』(角川書店、1983年)
各章のタイトルと紹介されている主な料理は以下。
- 北極熊は鍋の中へ - 北極熊のポット・ロースト
- 南氷洋のすし - 鯨の赤身と皮のすし
- 料理人には逆らうな - ホワイトフィッシュの煮物
- かば焼きだけが鰻じゃない - イギリス風鰻の煮凝り
- 食い物で人を侮辱するなかれ - 蜂の巣、エチオピア風パン
- 幽霊島の珍味 - ニック風海胆の酒漬け、ベイクド・アップル
- 魚の頭がおれを睨む - 魚の蒸し焼き
- 殺し屋志願 - 七面鳥のガラのスープ
- 懐かしの悪童料理 - 若鳥の焚火焼き
- フランス料理の天国と地獄 - フランスの学校給食のじゃがいも料理
- 腹のことを考える人は尻のことも考える - カリブー・ステーキ、バノック
- 雪原のディナー - 冷凍シチュー
- 酒を飲むのも命がけ - シシカバブ(シャシリック)
- 鬼と幽霊と巨人の島で - ロースト・ラビット
- 恐怖の泥団子 - ジプシー風針鼠の蒸し焼き
- 材料はいくらでも飛んでいる - 家鳩のフランス風ロースト
- あなた材料を知りたいですか - 猫肉のスパゲティ・ミートソース
- 食卓の下の花嫁 - たんぽぽとすいばのサラダ
これまでに読んだアウトドア関連の食の本のなかで最も面白かった1冊。C. W. ニコルは料理も達者で各章末尾にはレシピも記載されている。たとえ興味があっても食材の調達が困難なので、大半の料理は再現が難しいと思うが。松田銑の翻訳はC. W. ニコルの文章にとても合う。松田も楽しみながら訳している。
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