デヴィッド・ジョーンズ監督による英米合作映画『チャーリング・クロス街84番地』(1986年)。ニューヨークの女流作家とロンドンの古書店員が古書の取引を通じて淡い遠距離恋愛を深める。原作はヘレーヌ・ハンフの同名の往復書簡集(1970年)。原題: 84, Charing Cross Road。写真はロンドンに向かう機内のヘレーヌ(アン・バンクロフト)。
1949年10月のニューヨーク。女性作家ヘレーヌ・ハンフはロンドンのチャーリング・クロス街84番地にある絶版本を扱う老舗古書店マークス社に「古本好きの貧乏作家」という自己紹介とともに手頃な価格の古書を探してもらいたいと手紙で依頼する。
マークス社のマネジャーのフランク・ドエル(アンソニー・ホプキンス、右)から返事とともに依頼した本が届く。
ヘレーヌは送られてきた古書とその価格に満足する。
ここから、ヘレーヌとフランクの間に古本取引のための往復書簡のやり取りが始まる。ヘレーヌは独身の駆け出し作家で口数の多いユダヤ系米国人、フランクは古書に博識で口数は少ないがユーモアを解する所帯持ちの英国紳士。
当時のロンドンは配給制が導入され、食料事情が悪かった。ヘレーヌはクリスマス・プレゼントなどとしてマークス社に度々食料品を送る。マークス社には2人の共同経営者と5人の社員がいた。マークス社では「闇市場でしか手に入らないものばかり」と喜び、皆で分配する。
ヘレーヌはフランク以外の書店員やフランクの妻や二人の娘にとっても親近感を覚える存在になった。
1953年にヘレーヌは戴冠式ツアーでロンドンに行く予定にしていたが、都合で行けなくなる。来訪を心待ちにしていたフランクらはがっかりする。
エリザベス女王の戴冠式(1953年6月2日)のテレビ中継。
戴冠式を中継するテレビから英国歌が流れると、英国人は一斉に椅子から立ち上がる。フランクは左から2人目、彼の妻ノーラ(ジュディ・デンチ)は右から2人目。
往復書簡のやり取りが20年ほど続いた1969年1月、ヘレーヌはフランクが前年の12月22日に急死したことを知らせる手紙を受けとる。その後、マークス社も店をたたむ。
ヘレーヌはフランクの妻ノーラに手紙を書く。アイルランド系のノーラからは「主人に一度会って頂きたかった」「時にはあなたに嫉妬もしました」という率直な返事が届く。
1971年夏、ヘレーヌはロンドンに行き、初めてチャーリング・クロス街84番地を訪ねる。ヘレーヌは店のあった場所で「フランキー やっと来たわ」と声をかける。
84 Charing Cross Road (1987) New Trailer - YouTube
予告編。
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