斎藤耕一監督によるATG映画『津軽じょんがら節』(1973年)。津軽の寂れた漁村を舞台に男女の逃亡生活を描く。音楽は高橋竹山、若美家五郎、鳴海重光、白川軍八郎、海童道宗祖。英題: Tsugaru Folk Song。写真は主演の江波杏子。
中里イサ子(江波杏子、右)は故郷の津軽の漁村に帰って来た。岩城徹男(織田あきら、左)という若い男を連れていた。
チンピラヤクザの徹男はもめ事を起こして追われる身だった。東京で水商売をしていたイサ子は徹男を匿うために戻ってきたのだった。
イサ子の父と兄は漁師で6年前に真冬の海に消えた。その後、母も亡くなった。イサ子が戻ってきたのは父と兄の墓を建てるためでもあった。生家は人手に渡っている。二人は海辺の家を借りて住む。
赤塚豊(寺田農)。イサ子の幼馴染み。
徹男(右)は盲目の少女杉本ユキ(中川三穂子、左)をからかったことがきっかけで、彼女と親しくなる。世間知らずのユキは徹男を「あんちゃ」と慕う。
漁師の塚本為造(西村晃、右)。塚本の一人息子はイサ子と一緒に村を出て、その後、二人は別れた。今は息子の所在も分からない。
イサ子は村の飲み屋で働く。東京人の徹男は村での生活に退屈していた。ユキとも度々会う。しばらくして、イサ子に村を出ようという。
イサ子(左)も村での生活が思うようにいかず、二人で村を離れることにする。徹男はその前にユキを騙して金をせしめることを目論む。
しかし、徹男は村を去る間際に翻心して、ユキとともに村に残る。「私が出ていってもいいのね」と興奮して問い詰めるイサ子に徹男は無言で答える。イサ子は「あんた、よかったわね、ふる里が見つかって」と咳きながら、一人村を去る。
イサ子が去った後、徹男(右)は塚本(左)の漁を手伝い、ユキの待つ家に帰る生活を送っていた。
穏やかな津軽の海。ロケは五所川原市の磯松地区などで行われた。作品では荒れた海の映像が何度も流れ、至るところで津軽民謡が鳴り響き、登場人物は恨みがましい台詞を繰り返す。
2019/3/13発売 『津軽じょんがら節』オリジナル予告動画 - YouTube
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