バベットの晩餐会


ガブリエル・アクセル監督によるデンマーク映画『バベットの晩餐会』(1987年)。イサク・ディネーセンの同名小説を映画化したドラマ。必要最小限で静謐な音楽はデンマークの現代音楽の作曲家ペア・ノアゴーによる。原題: Babettes gæstebud、英題: Babette's Feast

舞台は19世紀のユトランド半島。荒涼とした海辺の村。
Movie - Babette's Feast

村の牧師館で老牧師(ポウエル・ケアン、中)とその娘で姉のマーチーネ(ビルギッテ・フェダースピール、若い頃はヴィーベケ・ハストルプ、左)と妹のフィリパ(ボディル・キュア、若い頃はハンネ・ステンスゴー、右)の3人が暮らしていた。老牧師はある宗派の創始者で信者から尊敬されていた。若い姉妹は美しく、それぞれスウェーデンの軍人とフランスの声楽家から求愛されたが、二人とも父を支えて信仰に生きる道を選んだ。
Movie - Babette's Feast

長い年月が流れ、老牧師は既に亡く、牧師館にはもう若くはない未婚の姉妹が住み、年老いた信者たちを支えていた。1871年9月の嵐の夜、バベット・エルサン(ステファーヌ・オードラン)というフランス人の女が訪ねてくる。彼女はかつて妹フィリパに求愛した声楽家であるアシール・パパンの紹介状をもっていた。バベットはパリ・コミューンで家族を亡くし亡命したのだった。余裕はなかったが、姉妹はバベットを家政婦として雇う。バベットはパリの最高級レストラン「カフェ・アングレ」の料理長をしていたが、そのことは話さなかった。写真は左からフィリパ、マーチーネ、バベット。
Movie - Babette's Feast

バベットは姉妹の慎ましい信仰の生活に寄り添って仕えた。
Movie - Babette's Feast

その14年後。姉妹は信者たちを招いて亡き父の生誕100年記念の会を催すことを考える。そうした中、バベットに1万フランの宝くじが当たったという知らせが届く。バベットは姉妹に対して「祝いの晩餐会の食事を作らせて欲しい」「フランス料理を提供したい」「費用は自分が出す」と申し出る。姉妹は逡巡しながらもバベットに晩餐会の準備を一任する。
Movie - Babette's Feast

バベット(奥)は晩餐会の食材を取り寄せる。彼女は「カフェ・アングレ」の料理を出すつもりだった。
Movie - Babette's Feast

亡き牧師の誕生日に晩餐会が開かれた。バベットはエリックという若者(エリック・ピーターセン、上の写真左)を助手に「厨房の天才」と謳われた腕を蘇らせる。

海ガメのスープ。酒はシェリーのアモンティリヤードが出された。

キャビアのドミドフ風ブリニ添え。そば粉のパンケーキにキャビアとサワークリームをのせたもの。酒はシャンパンのヴーヴ・クリコ。

ウズラのパイ詰め石棺風。フォアグラとトリュフソースが添えられる。バベットの創作料理。酒は赤ワインのクロ・ド・ヴージョ・ピノ・ノワール。

晩餐会には12人が招かれた。若い頃に姉マーチーネに求愛したローレンス・レーヴェンイェルム将軍(ヤール・キューレ、中央)も加わった。将軍は「カフェ・アングレ」で食事をしたことがあった。食事が進むにつれて12人は幸せな気持ちに包まれる。

晩餐会を無事終えたバベット。


【予告】バベットの晩餐会 - YouTube
予告編。

筑摩書房 バベットの晩餐会 / イサク・ディーネセン 著, 桝田 啓介 著
原作の日本語訳がちくま文庫から出ている。
ちくま文庫 - バベットの晩餐会

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