ウェイン・ショーターが2023年3月2日に亡くなった。米国のジャズ・テナー・サックス奏者。享年89歳。ウェザー・リポートのメンバーとして有名だが、一番よく聴いたのはブルーノートから出た『オデッセイ・オブ・イスカ』(1971年)だ。マイルス・デイヴィスのバンドを辞めてウェザー・リポートを結成するまでの間に挟まった時期の1970年の録音。原題: Odyssey of Iska。
1960年代の米国のジャズ・シーンを代表したのはジョン・コルトレーンのモード・ジャズ、マイルス・デイヴィスのエレクトリック・ジャズ、それにフリー・ジャズだろう。ウェイン・ショーターはマイルス・デイヴィスのバンドに参加した後、その路線を引き継いでジョー・ザヴィヌルらとともにウェザー・リポートを結成してフュージョン音楽の牽引役となった。ただ、ウェザー・リポートはジョー・ザヴィヌルの影響が大きく、ウェイン・ショーターの最良の資質はウェザー・リポート結成直前の録音に残されているように思う。『オデッセイ・オブ・イスカ』はそうした時期の1枚だ。ジョン・コルトレーンのモード・ジャズの重苦しさから解き放たれ、フリー・ジャズの息吹も吸収しつつ、フュージョン音楽にマイルス・デイヴィスとは全く異なるスタイルでアプローチしている。この時期に傾倒したブラジル音楽の影響も見られる。
『オデッセイ・オブ・イスカ』には全5曲が収められている。LPだとB面をよく聴いた。B面の冒頭の「Depois do Amor, o Vazio (After Love, Emptiness) 」の爽やかなサウンドが心地よい。
Odyssey of Iska - Wikipedia
De Pois Do Amor, O Vazio (After Love, Emptiness) - YouTube
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