首里城と金城石畳道

沖縄県那覇市。午後遅く、令和の復元が始まった首里城公園を散策。守礼門から入って、復元工事エリアを迂回するように設けられた見学通路を巡る。

2019年10月31日に正殿など8棟が焼失した火災から丸3年、先月2022年11月3日に正殿復元整備工事が起工した。4年後の完成予定で、想像以上に早いペースに驚く。完成したばかりの巨大な木材倉庫と原寸場(写真左上)で行われる修復作業はガラス越しに見ることができる。首里城再建への確かな足取りが随所に垣間見えた。
首里城

歓会門の両脇の獅子像(シーサー)の左側。おまえさんは火除けの神様でもあるんだから、僕は知りませんという顔なんかしてないで、しっかりやれよ。
歓会門の獅子像

園比屋武御嶽石門。そのひゃんうたきせきもん。琉球王が巡航の旅に出る際に拝礼した場所。
園比屋武御嶽石門

夕暮れどきに守礼門の脇の小道を抜け、琉球石灰岩が敷き詰められた金城石畳道を下る。エッセイストの古波蔵保好は1910年にこの金城に生まれた。『料理沖縄物語』(作品社、1983年)には「わたしの知っている金城は、没落した士族の町であったけれど、道のほとんどに石が敷き詰められ、道に沿って屋敷をかこむ石垣がつらなるといったなかなかにおもむきのある町だった」とある。それにしても、奇跡的に戦災をくぐり抜けた沖縄県指定文化財の石畳道にこの電信柱は艶消しではないだろうか。
金城石畳道

石畳道沿いの古民家を改装した休憩所の縁側で一休みして、向かいの「ゆくい処 石だたみ」で沖縄家庭料理と泡盛古酒の夕食。
ゆくい処 石だたみ

食事が済み、女主人にタクシーを呼んでもらう。何度も電話してくれるが掴まらない。「アプリのほうが早いが、私は使い方が分からなくて」という。スマホにアプリをインストールして、車を呼ぶ。10分後、暗闇の石畳道をガタガタ揺れながら、タクシーがゆっくりと登ってきた。


『料理沖縄物語』(朝日文庫、1990年)。最初に出た単行本(作品社、1983年)も持っているが、沖縄旅行の際は文庫本を持参して、行きの飛行機の中で読むことにしている。
古波蔵保好 - 料理沖縄物語

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