鯉の頭たたき

庭仕事のために鉈を取り出しながら、東北地方の郷土料理の「鯉の頭(こうべ)たたき」を思い出した。
鯉

調理方法はシンプル。両手に鉈や出刃包丁を持ち、大きめのまな板の上で鯉1匹分の頭、アラ、若干の身を30分くらいトントンとたたく。たたき潰すのではなく、たたき切るような要領だ。充分たたいたところで、ねぎと生姜のみじん切り、味噌を加え、全体がなめらかに混ぜ合わさるまで更にたたく。

つなぎは入れない。鯉の身を少し加えるのはそのほうが好みだからで、本来は頭とアラだけで作る。

作っているうちに材料が温まると仕上がりが悪い。真冬に寒い場所で調理するとよい。材料が飛び散ることもあるので、雪国なら積雪期に屋外で作るのが手っ取り早い。

小皿に盛り付け、そのまま生で食す。ザラリとした舌触りとともに若干のぬめりを含んだまろやかさがある。日本酒の肴に向く。残りはツミレにして味噌汁や鍋に入れる。

鯉は養殖で生食できるものを1匹生きたまま買い求め、数日間たらいに泳がせて泥を抜き、調理の直前にさばく。

余談だが、鯉こくは内臓や卵を加えると非常に美味。温め直すと味が落ちるので、家庭で食事の時間に合わせて人数分作るのが一番おいしい。

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