タル・ベーラと妻のアニエス・フラニツキの共同監督によるハンガリー・フランス・スイス・ドイツ合作映画『ニーチェの馬』(2011年)。タル・ベーラ監督の最後の作品。人生の真実を表現するために映像の持つ力を極限まで追及したという意味で大変な傑作だと思う。原題: A torinói ló、英題: The Turin Horse。
強風が吹きすさぶ荒涼とした平原。そこにポツリと建つ石造りの一軒家に1頭の馬と暮らす父娘の6日間を描く。父は年老い、右手の自由が効かない。家事は年のいった娘が担う。主要な登場人物はこの二人だけ。台詞は極度に少ない。
饒舌とは正反対の世界観。絵画や芸術写真を思わせる白黒映像。抑制された音楽。
全編に渡って途切れない緊張感。そのなかを終末の影がうねるように忍び寄る。
物語のようなものはない。難解という人も多い。映画にも相性がある。
娘を演じたボーク・エリカはふだんはレストランの洗い場で働き、女優としてはタル・ベーラ監督とのみ仕事をする。監督と俳優との幸福な関係の一つだろう。
『ニーチェの馬』予告編
Marele Ecran: „Calul din Torino”. Să învăţăm a privi
Esculpiendo el tiempo: El caballo de Turín (A Torinói ló, 2011) de Béla Tarr.
File:The Turin Horse poster.jpg - Wikipedia
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